マネジメントにおいてエモは大事だが、エモは1日にして成らず
最近社内で「組織やプロジェクトのマネジメントにおいてはエモさが大事だよね」というようなことを言っている。わりと本気でそう思っているけど、じゃあエモいってなんだよと問われると必要十分な言語化ができていないので、ブログ書きながら考えをまとめてみようと思う。
そもそも"エモい"とは
初手から俺定義で話し始めるのもアレなので、他所の人が言っている定義を借りてくる。「エモいとは」でググって見繕った中で私の考える"エモい"の意味合いに近いものを引用。
“エモい”という言葉があるんですが、これには『心が動いた』『心に刺さった』という意味合いだけではなく、『ロジカルに説明できないけれど満たされる』という精神的な充足感を含みます。
「ロジカルに説明できないけれど満たされる」これです。ロジックではなくパッションだ、ということですね。余談ですが私の座右の銘は「右手にロジック、左手にパッション」です。元松本山雅監督・反町氏から拝借。
マネジメントにおいてエモさが大事、というのは言い換えるとチームメンバーを動かすためにロジックだけでは片手落ちだ、ということです。あるPJやタスクについて「今やらなければいけない理由」すなわちロジックだけを説明しても、チームはモチベーション高く動いてくれない。
エモさを生み出すのは「文脈」
ところで、我々オタクは「ロジカルに説明できないけれど満たされる」というニュアンスに近い別の概念を知っていますね。
そうです、【萌え】です。萌えとエモには通じるところがある。
萌えについても100人が100通りの定義・解釈を持っていそうですが、私が「萌え」を語る際にいつも引かせてもらってるのがこちらの記事です。
具体的にはこの辺↓ですね。
知らない人にはただの絵にしか見えないそれには、膨大な物語を想起させる情報が織り込まれている。そこにはラノベなりアニメなりエロゲなり、物語を知ってる人でなくては読み取れない情報がある。だからこそただの絵にオタクたちは興奮するのである。
ただの絵に人格と物語を付与することにより、非常にハイコンテキストな表現としてそれは成立する。
絵に限らず、人が何かに萌えるというのは、その何かの後ろにある物語や文脈やコンテキストに萌えるのであるというのが私の理解です。これは漫画やアニメに限らず、『マツコの知らない世界』に出てくる人たちが(番組の演出の都合もあれど)とことんまで文脈を語りたがるところにも通じると思います。
チームメンバーに、PJやタスクの後ろにある物語や文脈やコンテキストに共感してもらえれば、ロジック以外の部分で強いモチベーションを与えることができるのではないでしょうか。
物語や文脈やコンテキストを生むのは「流れ」
これ、いわゆる「ビジョン」とは似て非なるものだと思います。ビジョンというのは未来に置く点であり、3年後や5年後にこうなっていたい、こうなっていなければならない、ここを目指しましょうというもの。
ビジョンも「エモ」と同じく「ロジック以外の部分で強いモチベーションを与える」効果があるのは事実ですが、「エモ」はどちらかというと"歴史"というか、そのPJやタスクを任されるまでの流れから生まれるものです。
ここで唐突にアイドルの話をしますが、今ハロプロで最も「エモ」に通じる「物語や文脈やコンテキスト」を持っているアイドルの一人が、私が推している"かえでぃー"こと加賀楓ちゃんです。
かえでぃーについて書き出したらキリがないので、またまた別の人の少し昔の記事引用。詳しく知りたい人はこちらを読んでね。
かえでぃーの何がエモいかというと、当然今の彼女のビジュアル・ダンス・ボーカルなどのパフォーマンスだったり、あるいはアイドルとしての輝かしい未来(いずれハロプロリーダーとしてグループの枠を超えてハロプロを引っ張っていってくれるであろう姿)だったりも大きいですが、やっぱり一番は過去からのストーリー、「流れ」なのですよ。
苦節4年、ハロプロ研修生の長い下積みを経て夢を叶えた瞬間は、ファンにとってとてつもなくエモーショナルなものだったことでしょう。本人も今年が最後のチャンスと臨んだオーディションだったということで、もし13期になれていなかったら・・・と思うと、本当に諦めないでいてくれてありがとうと言いたい。今の、そして未来のモーニング娘。になくてはならない存在です。
(中略)
ハロプロ名物「サプライズ加入発表」と、先輩達との初対面に、何度見返しても泣かされます。特にかえでぃー登場の瞬間に泣き崩れる「研修生同期」の牧野真莉愛や、牧野、加賀と共にオーディションを受けた小田さくらの反応にグッとくる。研修生、オーデ組、デビュー後の先輩後輩関係・・・と色んな文脈でエモい関係性を味わうことができるハロプロの醍醐味がここにあります。
エモさってこういうことだと思いません?
自分にとってPJやタスクに感じるエモさはかえでぃーの加入動画に感じるエモさと同じ。今そのPJやタスクを自分がやることになるまでの流れとか、自分がやるべき必然性とか、過去の似たPJの成功・失敗の歴史とか、そういうものから生まれます。「流れ」であり、もっと言ってしまえば「運命」ですね。
エモは1日にして成らず
というわけで、私がマネジメントにおいて大事であると考えている「エモい」を、私なりの言葉で解説する怪文書でした。いいんだよ別に正解なんてないんだから。
ここでいうエモさって、どう考えても短期的なコミュニケーションでは充足させることが不可能なんですよね。中長期的な「流れ」によって生み出されるものなので。そういう意味で弊社っぽくビジョンと紐付けて語るなら、マネージャーが中長期的なビジョンに基づいて一貫したコミュニケーションを日頃から取り続けている、そうした結果として任されるPJやタスクになら、チームメンバーはエモさを感じやすくなるんじゃないでしょうか。
加賀楓ちゃんの素晴らしさが少しでも伝わってくれたなら幸いです。